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  • 執筆者の写真渡部 潤一

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【蘇ったWavetable音源】


こんにちは!JSPA理事の渡部でございます。

今回はタイトルにあります音源のご紹介で執筆させていただきます。


「Wavetable音源」「Wavetable合成方式」

皆様の中でもご存知、聞いたことがある方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。

それではなぜ「蘇った」のか?

あらためてWabetable音源の解説をしていきましょう。(PPG Waveを参照)

1つのWavetable(1オシレータに該当する)に「一周期ぶんの異なった複数の」波形を用意し、エンベロープやLFOで波形を「スキャン」させます。

例えば、

ピアノ→サックス→バイオリン→矩形波→ノイズ

といった、異なる波形をスキャンすることで、従来の減産方式型シンセシスでは得られない、鍵盤を押すだけで音がモーフィングし、独特な、幻想的な音色変化をもたらす合成方式です。

Wavetableは30のバンクに分かれていて、それごとに収録されている波形が異なってきます。


最初にWavetable合成方式を取り入れたシンセは、Wolfgang Palm氏が立ち上げたメーカー、PPGから1984年に発売されました。 従来の減算方式とは全く違う音色変化をもたらすシンセなだけあって、当時は約250万円ほどの高値で販売されていました。 Tangerine Dream, Thomas Dolby, Ultravox, Depeche Modeなどが積極的にPPG WAVEを楽曲に取り入れていましたね。 そして時を経て1989年、Waldorf社が「micro WAVE」としてWabetable音源を【蘇らせ】ました。 PPG時代に搭載されていた波形はもちろんのこと、新規で搭載された波形を実装しており、あらたな風が吹き込まれました。 その後のWaldorf社は、このWavetable音源を主軸としたプロダクトを数多くリリースしています。 ・micro WAVE ・micro WAVE 2 ・THE WAVE ・micro WAVE XT(XTk) と、製造していましたが、2002年に倒産をしてしまいます。 しかし2007年に不死鳥の如く復活します。 復活後のWabetable音源は、 ・bloferd ・QUANTUM ・Kyra ・Iridium ・PPG Wave(ソフトシンセ) ・Largo(ソフトシンセ) といった、ソフトとハードウェアを共存させる形で現在に至ります。 そして、Waldorf社のお家芸とも言えるWavetable合成方式、それをダンスミュージック向けにアレンジしたソフトシンセがリリースされています。 代表的なものとして、 ・Native Instruments MASSIVEシリーズ Vengeance Sound AVENGER ・Xfer SERUM といった、Wavetable合成方式をアップデートしたソフトシンセを各社が開発しています。 PPG、Waldorf社が得意とする幻想的なサウンドスケープを産み出す音色に加え、非常に攻撃的なサウンドを出すための波形を搭載した最新型のソフトウェアで Wavetable音源はここでも「蘇ります」。 よって、Wabetabe音源は ・PPGからWaldorfへ ・最新型のソフトウェア型へ 2回、蘇っています。 時代を超越した、一筋縄ではいかない合成方式のWavetable音源で楽曲に変化を加えてみてはいかがでしょうか? 私個人が所有している、Waldorf micro WAVE XTは全パラメータをパネル上のツマミでオペレートでき、映画音楽的なサウンドスケープから、エッジの効いたサウンドを縦横無尽に生成することが出来るため、重宝をしています。 製品の数数は決して多くはありませんが、中古やオークションなどで見かける機会があれば、検討してみてはいかがでしょうか。

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