• 上杉尚史

2021_0528

<MIDI〜なぜにUMP?という話> こんにちは、理事の上杉です。

MIDIのお勉強の時間です(笑)。


先月はUMPのお話しをしましたが、今日は一歩戻ってなぜにUMP?という話しをしたいと思います。 


元々MIDIはハードウェアのシンセサイザー同士をケーブルで接続して演奏情報をやる取りする規格として登場しました。接続には5pin DINというドイツ工業規格のプラグを持ったケーブルを使用しています。例えば鍵盤楽器のMIDI OUT端子からMIDIケーブルを伸ばし、

音源モジュールのMIDI IN端子に接続することで、鍵盤とモジュールが少し離れていても一つのシンセサイザーみたいに使用できるというメリットがあります。で、長い間MIDIはMIDIケーブルを使って転送する・・・ってことで利用され続けました。


その後、シーケンサーがハードウェアからソフトウェアになり始めると、コンピューターにもMIDI端子が必要になってきます。そこで、パソコンのシリアルポート(COMポートやMacのADBポートなど)をMIDI端子に変換するMIDIインターフェースなるモノが普及していったのですが、1996年にUSBが登場すると一気に流れが変わっていきます。


RolandのSC-8850やYAMAHAのMU-2000など、DTM音源にUSB端子を搭載した機種が登場すると、USBケーブル1本でMIDIケーブル数本分(インもアウトも)の接続が済んでしまうため、MIDIケーブルは入力用のキーボードを接続する時ぐらいしか使用しなくなってしまいます。


さらにその後USB接続のMIDI入力用キーボードが大量に発売され、入力出力共にUSBのみとなってしまいます。もちろんライブキーボーディストはシンセを何台か使用する際にMIDIケーブルで接続するというケースもあったのですが、この頃から1台のシンセでピアノ、ストリングス、オルガン、ブラス、リード・・・と何でも出るようになって来たので、キーボーディストも多くて2台くらいの鍵盤しか使わない時代が到来します。

さらに追い打ちをかけたのがソフトウエアシンセサイザーの登場です!

これにより、もはやパソコンと音源を繋ぐ必要すら無くなってしまいます。


とはいえ、入力用のキーボードなどはパソコンと接続する必要があるので、USB接続でMIDIのやりとりをするのですが、このときの転送方式は先月少しだけ話したMIDIメッセージの前後にスタートビットとストップビットを置く転送形式とは若干異なります。


現在使われているUSBのMIDI転送では、32ビットあるUSBのビットストリームを8ビット(1バイト)ずつに分けて、冒頭の8ビットの内4ビットがケーブルナンバー、次の4ビットがCode Index Numberと呼ばれるメッセージタイプを表すビットとなり、残りの8ビット×3=3バイトが実際のMIDIメッセージとなるようにして転送しています。


MIDIケーブル時代(笑)では、31.25kbpsで転送していましたので、1バイトの転送を10bit(スタートビットとストップビットの付加を考慮)とすると約.032msecかかります。ノートオンなどのメッセージは3バイト転送で成り立ちますので、1音送るのに0.96msecすなわち約1msecもかかってしまいます。10和音送ったら最初の音と最後の音の発音タイミングは10msec近くずれることになってしまうのです。


これがUSBだと、前述のUSB-MIDI(UMP以前のもの)で1メッセージ32ビットずつなので、USB1.0(12Mbps)でも約0.0027msec、USB2.0(480Mbps)に至っては0.0000675msecしかかかりません。CDのサンプリングレート44.1kHz時の1サンプルの時間は0.022675msecですので、USB1.0転送でも8~9和音くらいは同じサンプルの音として転送できますし、USB2.0に至ってはその40倍のデータでも大丈夫になります。


このようにUSBでMIDIを転送すると非常に効率よく転送が可能なのです。

この取り決めはUSBの規格側で決めていた(若干語弊がありますが・・・)のですが、MIDIが2.0化するにあたりMIDI規格側でしっかりと転送ルールを決め、Universal MIDI Packet=UMPとしましょう・・・ということになりました。


考え方としては現在使われているUSB-MIDIとほぼ同じですが、UMPでは物理的な伝送方式に規定が無く、将来的に登場する接続方式でもこれを使いましょう・・・ということになっています。

もちろん現在はUSB接続が主体で考えられているのですが、ワイヤレスであったり、光通信であったり、今後も新たな接続方式が開発され、それを使ったUMP伝送というのがどんどん出てくる可能性はあります。

また、UMPでは一つのメッセージを64bitにしたり128bitにしたりとフレキシブルに決められているので、より効率的にMIDIメッセージを伝送することができます。


MIDI2.0と呼ばれている規格の範疇には既存のUSB-MIDI(プロトコル(通信手段)がMIDI1.0)を使用しても成り立つものもあるのですが、より精巧で大量のデータをやりとりする場合にはUMP=MIDI2.0プロトコルを使用することになります。


このコラムを書いている今日現在では、UMPを使用してMIDI2.0データをやりとりできる機器は発売されていないのですが、DAWがMIDI2.0のデータを扱えるようになれば、少しずつ登場してくるのでは無いでしょうか?


実際に演奏で使用するミュージシャンにとっては、細かい仕組みを知らなくても良いのですが、MIDIケーブルを接続したり、USBキーボードをPCに接続して使用したりする際には、「偉い人が考えてくれたからホント便利だなぁ・・・」と少し感謝しながら使いましょう(笑)。


本日はここまで。


上杉 尚史

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